発達障害と薬と副作用

薬剤師あいこによる発達障害と薬を学ぼう

記事執筆者
あいこ 薬剤師歴20年
現役薬剤師の視点から「発達障害と薬の不安」を解決するべくお伝えします。

 

発達障害は薬で治る?
睡眠障害があり、睡眠薬など何らかの薬を飲むことはとても意味があると思います。睡眠は子供の成長においても大切ですし、日中のパフォーマンスに影響するものなので、薬を飲んでしっかり眠れるようにすることは良いと思います。

ただ、発達障害を治す薬はありません。基本的には対症療法なのです。
席についていられない子がお薬で座っていられる、不安でたまらない子がお薬で教室に行くことができる…など本人の困りごとの助けとなるものです。
しかし、大人でも頭痛がするけれど仕事をしなければいけないから、頭痛薬を飲むことをします。しかし薬が切れるとまた痛くなる…これが対症療法です。

学校関連の困りごとは薬を飲めば万事解決?

学校へ行きたくない子、勉強がつらい子、友達関係が苦手な子が薬を飲めば何とかなる…これは果たして本人にとって良いことなのか。
これは一度立ち止まって考えなければならないことです。

そこに本人の思いはある?
ある程度自分の意思が言える子であれば服薬について本人も含めて話し合う必要があります。
学校に行かなくてよいなら薬が必要ない。この場合は本当に学校に行かせることが良いことなのか。
服薬を始める前に考えてほしいことなのです。
薬は本人の手助けになります。
それは本人が少しでも楽になるための手段です。

しかし、学校に行くため、集団に入れるため、みんなと同じことをさせるために服薬させるものではありません。(ただし本人が望む場合は別です)
幼いころの癇癪やパニックはつらいけれど、本人にはどうにもできないことなので、薬で抑えてあげることはある程度意味があると思います。

入学・小学校高学年以降はひとつの境目
慎重に検討すべきなのは、就学してから(6歳~)の服用。
特に本人の意思がはっきりしてきて、勉強も少し難しくなってくる高学年以降です。
親の意見、本人の意見、医師の意見これらをしっかりすり合わせて、本人にとって良い選択
をしていってほしいと思います。