早期療育でASD、ADHDは治るのか

 

 

ここでは、早期療育の効果、ASDやADHDに対する理解、そしてそれらが「治る」のかどうかについて、論文を交えながら解説します。

1. 早期療育の重要性
「早期療育」とは、発達障害の兆候が見られる子どもに対して、できるだけ早い段階で適切な支援や治療を開始することを指します。研究によると、早期療育は発達障害のある子どもの社会的スキルやコミュニケーション能力の向上に寄与し、その後の生活の質を大きく向上させることがわかっています。

**例:ロジャーズ博士の研究(2006年)**では、ASDの子どもに対して行った早期療育プログラム(ESDM:Early Start Denver Model)が、子どものIQや適応スキルの改善に顕著な効果をもたらしたことが報告されています。早期に介入することで、脳の可塑性(脳が柔軟に変化する能力)を活かし、成長の途中で社会的・認知的な発達が促進されることが示されています。

 

☆嵯峨の個人的な考え☆

早期療育とはなんでしょうか。本当の意味での療育とは、その人(子)をよく見て、その子に合ったやりとりや環境調整を行い、試行錯誤することだと思います。

療育施設、児童発達支援や放課後等デイサービスに行けば安心というものではありません。

そこで得た刺激や方法を一番長く一緒に過ごす家族が実践すること。これが何より効果的で大切だと考えます。

 

 

2. ASD(自閉スペクトラム症)について
ASDは、社会的なやり取りやコミュニケーション、行動における発達の違いを特徴とする発達障害です。これまでの研究により、ASDの原因は一部が遺伝的要因に関連していることが示されていますが、その詳細なメカニズムはまだ完全には解明されていません。

*発達障害と遺伝に関してはメンバーの外科医ちっちさんが書いた記事がよくわかります。

こちらからどうぞ。https://surgeontitti.com/autism-genetics-misconceptions-dont-be-fooled/

**参考:ロナルドとホーラー(2010年)の研究**によると、ASDの発現には遺伝的要因だけでなく、環境要因も影響を与える可能性があります。環境要因としては、出生前後のストレスや化学物質への曝露などが考えられます。発達障害の早期兆候としては、言語の遅れや非典型的な行動(視線の合わなさ、反復的な動作など)が見られますが、個々の症状は非常に多様です。

3. ADHD(注意欠如・多動症)について
ADHDは、集中力の持続や注意力のコントロール、衝動的な行動が困難になる発達障害です。ADHDは子どもの頃に現れることが多く、特に学校生活において課題を引き起こすことがあります。

**参考:Barkley(2006年)の研究**によれば、ADHDの子どもたちは、自己制御に関連する脳の領域で機能の違いが見られることが示されています。この違いは、遺伝的な要因が強く関与していると考えられていますが、家庭環境や学校での支援の質も症状の表れ方に影響を与えるとされています。

4. 発達障害は「治る」のか?
親がしばしば気になるのは、発達障害が「治る」のかという問いです。現時点では、ASDやADHDが「治る」というよりも、それらの特性と共に成長し、適切な支援や療育によって症状を軽減したり、日常生活での適応力を高めたりすることができると考えられています。

**エルダーマン(2017年)による研究**では、発達障害の完全な「治癒」は難しいものの、適切な療育や支援が行われた子どもたちは、社会的・学業的に大きな進展を見せることがあると報告されています。特にADHDにおいては、行動療法や薬物療法によって症状が劇的に改善されるケースも多くありますが、これも「治る」というよりは、症状が管理可能なレベルに達するという意味での改善です。

まとめ
発達障害に対する「早期療育」は、ASDやADHDの子どもにとって非常に効果的なアプローチです。子どもの成長過程における脳の柔軟性を活かし、早期に適切な支援を行うことで、社会的スキルや日常生活での適応力を向上させることができます。ASDやADHDが「治る」という表現は適切ではありませんが、療育や支援を通じて大きな進歩を遂げることが期待されます。親としては、早期発見と早期療育に注力し、子どもの発達を見守ることが重要です。

 

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